今と昔を結ぶまち、東銀座。まちや風景は変わってもそこで過ごした時間やかけがえのない経験はいつまでも心に残り続ける―
東銀座にゆかりのある方々に東銀座や銀座、築地などを含め、このエリアで過ごした想い出やこれから期待することなどを文や絵など形態にとらわれず、前篇・後篇として2回にわたり自由に綴っていただくエッセー企画「東銀座と私」。
その第13弾となる今回は、株式会社紙パルプ会館に勤めるかたわら、2006年に銀座ミツバチプロジェクトを立ち上げた田中淳夫さんに、銀座の街の活性化とミツバチが住める街づくりなどについてご寄稿いただきました。今回は後篇をお届けいたします。
「銀座ミツバチプロジェクト」の立ち上げから20年目を迎えた昨年は、銀座で2トン、丸の内で800kg、併せて2.8トン(国内生産量0.1%)も収穫する体制が出来上がりました。2024年には、特許庁から地域団体商標を取得して、江戸切子、草加煎餅などと並ぶ地域商品のお墨付きもいただきました。
ちょうど同じ年、銀座の東側を活性化する取り組みを開始していた東銀座エリアマネジメントとご縁ができて、昨年秋には銀座松竹スクエアにて、ご縁のある福島県のマルシェを開催する事ができました。
そして今年3月末から5月末までの2ヶ月間、東劇ビル屋上をお借りして養蜂場を設置。期間中には、東劇ビルのテナントの皆さんや東銀座エリアマネジメント主催の「ヒガギンメイト」とのコラボ企画で採蜜体験会を開催する事が出来ました。そして何と2か月間で630kg!!も収穫出来ました。
映画館のすぐ上なので心配されましたが、ミツバチ達は無事役割を終えて今は岩手県に移動しております。
私は中央区の「緑の検討委員会」にメンバーとして20年以上携わって来ております。中央区では、一つの基準として緑被率(緑のカバー率)が2004年「9.1%」、2017年「10.7%」、そして2028年には「13%」を目指しています。しかしここに来て大きな変化が出て来ました。それが高速道路の緑化です。
今、日本橋の高速道路地下化工事の影響で、KK線と言われる西銀座デパート、銀座インズ上の高速道路は通行止めとなっていますが、ここを将来緑地帯にする計画が出て来ました。さらに歌舞伎座と東劇ビルの間を通る首都高速一号線を、耐震補強対策のため蓋掛けして緑化します。これが繋がると銀座を3.2kmにわたり、ぐるっと囲む巨大な緑の回廊が誕生します。
私は、中央区に「この緑の回廊を47都道府県に割り振り、例えば福島県はボタンやハナモモ、長野県はリンゴ、大分県はカボス、徳島県はスダチ、そして中央区役所はかつて土佐藩邸の下屋敷だったので、高知県の柚子や柑橘を植えたらいかがでしょう」と提案しています。さらに、これらの花の咲く時期や実の収穫の時に、各アンテナショップや県人会と連携して各地のお祭りやマルシェなどを開催すれば、韓国ソウルの清渓川やNYの地下鉄跡地のハイラインをはるかに超えるグリーンインフラとして世界へ発信する都市型環境デザインを提案できると考えております。中央区としては、2021年に“銀座・築地周辺みどりのプロムナード構想”をメディアリリースしています。
さらに現在工事が始まっている築地市場跡地の巨大な開発にもつながってきます。ハイブランドのホテル、国際会議場、ボールパークなどが誕生すると、一日5万人の人々が築地と銀座の東側を行き来する事になります。将来多くの人がこの緑の回廊に流れてくるのです。
この結節点として、東銀座エリアへの注目が集まり、東銀座エリアマネジメントのまちづくりの役割は大変大きな期待が持たれると考えられます。
世界的なハイブランドを扱う銀座のまちだからこそ、単なる緑化とせず、環境を戦略的に捉えて世界へ発信するエリアコンペティションの一助となることが期待されます。
当初は「銀座の街で天然の蜂蜜が取れたら面白いね」から始まった銀座ミツバチプロジェクトは、LVMHグループのGUERLAIN等の世界的なブランドと組んで都市の環境をデザインしていこうと考えています。
これからも銀座の東に位置する皆様と、築地そして銀座の西側をつなぐ結節点として、新しい扉を開いて参りたいと考えております。小さな団体では有りますが、銀座発信の新しい社会的価値を創造できたら嬉しいです。皆様の突き抜けるような楽しいアイディアをお待ちしております。
<プロフィール>
田中 淳夫 (たなか あつお)
1957年生まれ。多目的ホールなどを管理する株式会社紙パルプ会館(2023年退任)に勤めるかたわら、「銀座の街研究会」の代表世話人として銀座の街の歴史や文化の研究にも取り組む。養蜂家の藤原誠太さんとの出会いがきっかけで、「銀座ではちみつが採れたらおもしろいよね」との想いから、2006年に銀座ミツバチプロジェクトを立ち上げ、銀座の街の活性化とミツバチが住める街づくりを提唱し、屋上緑化を推進する。また地方との交流で、顔の見える関係の構築に尽力。都市養蜂のパイオニアとして各地のミツバチプロジェクトの発足に協力し、全国各地にミツバチ仲間を広げている。
2007年「あしたのまち・くらしづくり会議」にて奨励賞、2008年「エコ・ジャパン・カップ2008」ライフスタイル部門にて元気大賞、2010年「環境大臣賞」を受賞。2012年、農林水産省「食と地域の絆づくり」表彰。2023年、NIKKEI脱炭素アワード 「プロジェクト部門大賞」受賞、2024年、東京都NBSアクションアワード優秀賞受賞・特許庁より「銀座はちみつ」が地域団体商標取得。著書「銀座ミツバチ物語」「銀座ミツバチ物語part2」時事通信社。中央エフエムにてラジオ番組「銀ぱちHook Bee to You!」が毎月最終週の水曜日20:30~放送中。
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