東銀座タイムスリップ -東劇ビル編-

東銀座タイムスリップ -東劇ビル編-

2026.08.04
東銀座のまち
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目まぐるしい時代の流れの中で、常に姿を変え続ける東銀座。

そんな東銀座エリアの貴重な過去資料と今を見比べて、
歴史をたどる新企画!

その名も「東銀座タイムスリップ」

記念すべき第一回目は、東劇ビルにクローズアップします。

松竹株式会社の本社などが入る、東銀座を代表する老舗のオフィスビル、東劇ビル。
2026年で竣工51年目を迎えました。

そんな東劇ビルですが、
その前身が“東京劇場”という劇場だったことをみなさんはご存じでしょうか。

今回は90年以上前の貴重な資料から、
当時を知る方へのインタビューなども交えて、
東京劇場と東劇ビルの歴史を探っていきます。

劇場としてスタートした東京劇場

東京劇場 正面写真[1930年](中央区立京橋図書館所蔵)

東京劇場は1930年(昭和5年)に完成した劇場です。

7階建ての“スパニッシュ式建築”と呼ばれる厳かな建築様式で、当時の背の高い建物が少なかった東銀座において特に目立つ存在となりました。
株式会社大林組発行『東京劇場』(1930年)には、用途として「演劇ヲ主トシ随時活動寫眞ノ映寫歌劇及音樂ノ上演ニモ供ス」と記載されており、松竹株式会社発行『松竹七十年史』(1964年)にも「東劇の開場狂言は、菊五郎、羽左衛門、梅幸一座で「義経千本桜」「色彩間刈豆」「娘道成寺」「お祭佐七」の名狂言揃いの、連日大入り」とあることからも、当初は演劇が中心だったことが分かります。

1962年(昭和37年)に首都高速道路が開通するまで、東京劇場のとなりには築地川が流れていました。
竣工当時の写真を見ると、その様子がはっきりわかります。

1967年(昭和42年)に廃線となるまで、銀座には路面電車が走っていました。
竣工当時の写真をよく見ると、線路を確認することができます。
いまでは考えられないほど車通りが少なく、道路も広く見えます。

東京劇場の屋上から歌舞伎座方面を見た写真。路面電車が走っているのがわかる。[1930年](中央区立京橋図書館所蔵)

豪華絢爛!東京劇場の内部写真

東京大空襲と東京劇場

時は第二次世界大戦中の1945年(昭和20年)。
東銀座も空襲の標的となりました。

3月10日の東京大空襲により、歌舞伎座は焼失。新橋演舞場は外壁を残すのみとなりました。
しかし東京劇場は比較的被害が小さかったため、1951年(昭和26年)に歌舞伎座が再建される頃まで、歌舞伎座に代わって歌舞伎を上演することとなりました。

1950年 洋画中心の映画館へ

東京劇場では当初から演劇だけでなく映画を上映することもありましたが、
時代の流れを受けて、1950年(昭和25年)から洋画中心の映画館へと転向します。

転向後初めて上映された映画は、『摩天楼』(キング・ヴイダー監督)でした。

当時、毎週のように東京劇場で映画を見ていたという90代の方にお話をうかがいました。
そのときは中高生で、お父さまとよく来ていたそうです。

東京劇場はどんな雰囲気でしたか?

コンクリート造りでどっしりしていて、豪華で厳かな感じでした。
ほかの娯楽映画を上映している劇場とはちがって、わりと難しい、固い映画。重たいテーマの映画をやっていた印象があります。
当時は娯楽が少なかったこともあって、立ち見が当たり前。
座りたい人は早く劇場に行くのが基本でした。
(当時の映画館は自由席)

東京劇場で映画を見たときのことについて、なにか印象に残っていることはありますか?

チャップリンの映画を見たことが印象に残っています。

それと、当時は今みたいにエアコンがなかったから、夏は暑くって。
窓を開けて風を入れていたのを覚えています。
築地川かな、皇居のほうから涼しい風が入ってきて、それが気持ちいい。
当時はまだ子どもだったから、まわりの大人があおいでくれました。

そうそう、上映前にはブザーが鳴って、ニュース映画から始まるんです。

いまだと、映画の予告や鑑賞ルールの映像が流れますよね

そういうのはなくて、最近の出来事とかが流れていましたね。
予告編が流れるようになったのはもう何年かあとじゃないかな。

みんな真剣に映画を見ていましたよ。
貴重な娯楽の時間でしたから。

いまの映画館とはかなり雰囲気が違うんですね
貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました

東京劇場から東劇ビルへ

東劇ビル竣工時のパンフレット

1972年(昭和47年)、東京劇場は42年の歴史に幕を閉じました。
そして1975年(昭和50年)、映画館“東劇”とオフィスビルが複合した、東劇ビルが新たに竣工します。

当時のパンフレットには東銀座について、「地下鉄、高速道路、東京港、銀座を周辺にもつ首都交通網のポイントであり、ビジネス・センターとしては最高の立地条件」のため、「この様な格好の場所を、単に文化的所産として東京劇場を温存しておくより、時代的趨勢もさることながら、国際的見地からも、地域開発と、松竹将来の大計のためにも、ビジネスビルに建て替えることの方が有益であると判断」したと記載があります。

また、3,4階に位置する“東劇”は「ゴージャスな雰囲気を備え尽くすと共に、透明展望のドームの中を一階より直通する専用のエスカレーター、又本邦で最初の全自動映写機「エプラドスオード・40000」の設置等、ロードショウ劇場としての偉容」を誇るものであり、「銀座のシンボルとして、永く多くの方々に親しまれる」ことを期待されていました。

竣工時のビルの様子は、2026年現在とは大きく異なっていたようです。

いまや東京劇場よりも長い歴史を持つ東劇ビル。
50年もの間、東銀座を見つめ続けてきました。

そんな東劇ビルの3,4Fでは、いまも現役で映画館“東劇”が活躍しています。

銀座の話題となったクリスタル・エスカレーターも現役。
晴れた日は東京スカイツリーも見える。
昭和レトロな雰囲気が残るロビー。
看板のデザインがたまらない。

そして現在、東銀座の新たな夏の風物詩となった風鈴を展示中です。

約100年の歴史をもつ東京劇場・東劇ビルは、ここから100年先の新たな歴史・新たな文化も見つめていきます。

東銀座風鈴は8月17日まで展示予定

そして、夏といえば…

うだる暑さを吹き飛ばす、
進化を遂げた怪談噺の最高傑作が東劇で上映されます

NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』

8月7日(金)~13日(木)
東劇ほか全国の映画館で上映

歌舞伎の名作古典『四谷怪談』を、
現代の感覚で描くコクーン歌舞伎ならではの演出で上演。
その舞台を撮影し映像化した注目の作品です。
この機会にぜひご覧ください。

NEWシネマ歌舞伎『四谷怪談』の詳細はこちら