東銀座と私 /地理芸人 トフィー(前篇)

東銀座と私 /地理芸人 トフィー(前篇)

2026.01.29
東銀座のまち
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今と昔を結ぶまち、東銀座。まちや風景は変わってもそこで過ごした時間やかけがえのない経験はいつまでも心に残り続ける──
東銀座にゆかりのある方々に東銀座や銀座、築地などを含め、このエリアで過ごした想い出やこれから期待することなどを文や絵など形態にとらわれず、前篇・後篇として2回にわたり自由に綴っていただくエッセー企画「東銀座と私」。
その第12弾となる今回は、芸人をしながら高校・予備校・大学で現役の地理教員をされているトフィーさんに、”地理”の視点から東銀座の地形や歴史についてご寄稿いただきました。普段とは少し違った東銀座の魅力を発見できる貴重な機会、今回は前篇をお届けします。
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東銀座の新旧航空写真からなにがわかる?

突然ですが問題です!東銀座エリアの古い航空写真と新しい航空写真を見て、大きく変わったところはどこでしょうか?ちなみに1枚目は1945~50年頃で、2枚目は現在(2026年1月閲覧)です。

(※後に紹介する古地図と合わせるために上側を北東にしています。)

正解は「川や堀がなくなった」でした。黒く太い線が入ったようになっているところは川なのです。
東銀座はかつて水の都だったのですね。

申し遅れました。私は、地理芸人のトフィーと申します。高校・予備校・大学で地理の先生をしながら松竹芸能で地理芸人をしています。松竹芸能の事務所は東銀座の東劇ビルにあるため東銀座にはしばしば通わせていただいております。

地理芸人として「まちあるきガイド」を様々なところでさせていただいています。まちあるきガイドでは何気なく歩いていたら見逃してしまう地理スポットをお散歩しながらガイドします。
昨年、2025年11月に東銀座エリアマネジメント様主催の「ヒガギンメイト~ぶらり東銀座探訪~」では私が東銀座をご案内させていただきました。
今回はその時ご案内した東銀座の隠れ地理スポットを地図や古い絵を見ながらご紹介していきます。

東銀座の2つの川
かつて東銀座のあたりには三十間堀川と築地川という2つの川がありました。
三十間堀川は中央通りと昭和通りの間に、築地川は築地本願寺を囲むように存在していました。

1945~50年頃の航空写真に、水色で水域を塗り、赤字で現在の通りやスポットを付け加えたもの

三十間堀川
三十間堀は1612年(慶長17年)に掘られ、当時は幅が約三十間(約55m)あったために三十間堀と呼ばれました。(のちに十九間(34m)に狭められた。)

江戸時代末期に描かれた地図をみると川(堀)は1945~50年頃の航空写真とほぼ同じであることがわかります。では三十間堀川の南側の木挽橋のあたりを描いた江戸時代の絵をみてみましょう。

木挽橋

出典:江戸名所図会 7巻 [2] – 国立国会図書館デジタルコレクション

手前の橋が木挽橋で、木挽橋を北側からみた図です。当時は江戸三座の1つである森田座(守田座)があり、大変にぎわっていました。(1842年に浅草へ移転)
三十間堀川は第二次世界大戦後、埋め立てられてしまいましたが、木挽橋の名は公衆トイレに名前が残っています。

次に築地川に架かる萬年橋が描かれている絵を見てみましょう。

萬年橋

出典:江戸名所図会 7巻 [2] – 国立国会図書館デジタルコレクション

こちらの絵は木挽橋のあたりから東側を見た風景です。一番奥には築地本願寺が描かれており、その手前の築地川に架かっている橋が萬年橋です。中心には乗馬や馬術の練習を行うための場所である馬場が描かれています。真ん中やや左側には落馬する人も描かれておりコミカルな絵となっています。

現在の萬年橋 現地に行ってぜひ江戸時代の絵と見比べてみてください。

築地川

旧築地川・現在の首都高速環状線 奥に見える橋は采女橋

築地川は東京オリンピック開催に伴って埋め立てられ、首都高速環状線となっています。昔は水が流れていたところに今は車が流れている。上から高速道路を眺めながら築地川に思いをはせてください。できればお早めに。というのはこの首都高速環状線に蓋をする計画が発表されました。トンネル化されてしまう前にぜひお早めに。

次回の後編では、上の写真でみられる采女橋付近の首都高速がS字クランクの謎や、ほとんどが首都高速環状線になってしまった旧築地川の川底に降りることができるレア地理スポットをご紹介します。お楽しみに!


<プロフィール>
トフィー
松竹芸能所属の芸人・講師・旅人。
独自の視点で地理の魅力を伝える地理芸人として活動しながら、高校、予備校、大学で地理の非常勤講師も務める異色の経歴を持つ。自らの足で世界を巡り、これまで17カ国を旅してきたほか、国内でも精力的にフィールドワークを敢行。机上の学問に留まらない、リアルな地理の面白さを追求しています。自身のYouTubeでの発信やメディア出演をはじめ、地域活性化イベントやまち歩きツアーでも活躍中。

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